遺言書を残すメリット・デメリット
遺言書は、自身の財産を誰にどのくらい残したいか、自分の意思を伝えるために非常に有効な手段ですが、遺言の内容によってはトラブルを招く可能性があります。
この記事では遺言を残すメリット・デメリットについて解説します。
遺言書とは
遺言書とは、自分の死後の希望について記載した文書のことで、遺産配分をスムーズにし、相続人間の争いを防ぐといった役割があります。
遺言書は、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に分類できますが、一般的なのは自筆証書遺言と公正証書遺言です。
自筆証書遺言は、最も手軽で広く利用されている方法ですが、内容に不備や間違いがあると無効になる可能性があります。
公正証書遺言は公証役場の公証人に作成してもらう遺言書で、自分で作成した素案を元に公証人が作成するため、形式的な間違いが起こりにくいのが特徴です。
また、公正証書遺言の原本は公証役場で保管してもらえるため紛失などの心配がありません。
遺言書を残すメリット
遺言書を残すメリットについてみていきます。
相続トラブルを回避できる
相続トラブルの多くは、相続人が遺産の分け方について話し合う遺産分割協議において起こります。
遺言書があると、基本的には遺産分割協議を行う必要がないため、相続トラブルのリスクを下げることができます。
遺産の分け方を自分で決められる
遺言書がない場合、法定相続人(財産を相続する権利のあるひと)が遺産分割協議によって話し合いで遺産の配分を決定します。
しかし、遺言書を作成すれば、遺産の分け方を自分で決められます。
法定相続人以外のひとに財産を残せる
遺言書を残すメリットとして、相続人以外のひとや団体に財産を残せるという点があげられます。
法定相続人以外の友人や遠縁の親族、慈善団体などに財産を残すことを「遺贈」と呼びます。
遺言者は、財産全体または一部を自由に分配することができ、「Aさんに1,000万円渡す」「Bさんに自宅を渡す」といったように具体的に遺贈する財産を指定することが可能です。
遺言書を残すデメリット
遺言書を残すデメリットとしては、以下のようなことが考えられます。
遺留分の侵害
法定相続人には「遺留分」という最低限の取り分が保障されています。
たとえば、配偶者や子どもなどの法定相続人がいる場合、彼らの遺留分を侵害する内容の遺言があった場合には、遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
相続税の集中
遺産を特定のひとに集中させると、相続税が高額になってしまい相続人に負担が生じる場合があります。
遺言書が適切でない場合、無効になることがある
遺言書は書き方が決められており、法律に沿っていない遺言書は無効になるケースがあるので、作成の際には注意が必要です。
まとめ
遺言書は、遺産の分け方を自由に決めたい場合や法定相続人以外の特定のひとや団体に財産を残したい場合に有効な手段です。
しかし、遺言書の内容によってはトラブルが発生したり、一定の相続人に相続税の負担が生じたりする場合もあるので、注意が必要です。
遺言書の種類や作成方法を理解し、必要に応じて司法書士などの専門家に相談することで、適切で確実な遺言書の作成ができます。
遺言書について不明な点、不安な点がある場合には、お気軽に司法書士にご相談ください。